もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら まとめサイト


373 ◆lnWmmDoCR.氏  『ガンダムSEED D CCA』

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 戦闘行動を終えミネルヴァのMSデッキに続々と搭載機が帰艦してくる。
アムロはインパルスが帰ってくるのを待っていた。インパルスから降りてくるシン。

「シン!こっちへ来い。なぜあんな軽はずみな行動をした?」

「軽はずみ?俺は間違ったことはしてません!あそこの人だってあれで助かったんだ!」

「労働者を助けたのは良い。見過ごすことなど誰にも出来ないだろうからな…だが誰が基地を破壊しろと言った。」

「あの基地は地球軍のですよ?カーペンタリアとあんな目と鼻の先にあったら先に潰しておくのが良策でしょう!」

「なぜ一言報告をしなかったんだと言ってるんだ!今回は何も無かったかもしれないがおまえの自分勝手な判断で行動して何かあったとき
どう責任を取るんだ!それにあの基地にはまだ大勢の地球軍兵士が残っていたはずだ!お前の家族は
戦争で犠牲になったと聞いたが今度はお前のせいでそんな人が増えることがなぜ解からない!」

「じゃあどうすればよかったんですか!『今から基地を破壊しますから皆さん逃げてください』とでも言えばよかったんだとでも言うつもりですか!
あんたは知らないかもしれないけど地球軍はほっとけばすぐ核兵器をぶっ放す野蛮な人種なんだ!そんな奴らを逃がしたらこっちが痛い目見ることになるんだ!」

アムロはシンの主張を聞いてコーディネーターとナチュラルは分かり合おうともしていないことを知る。しかしそれを差し引いてもでもシンの言い方はアムロを失望させるのには
充分だった。

「…そうか、分かった。お前がそういう考えをしているとは知らなかったんでな。すまなかった。お前に期待していたんだが俺の見込み違いだな。」

そう言うとアムロはMSデッキを去った。シンの心にその言葉はずしりと響いた。


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数日後ミネルヴァはマハムール基地へと到着する。基地指令のヨアヒム・ラドルにタリア、アスラン、アムロの三人が挨拶をすると
作戦本部へと案内され、作戦の目的を聞かされる。今回、この地区の唯一のエネルギー源であるガルナハン奥の火力プラントを入手するために
ミネルヴァの力を貸して欲しいとの事だった。ただ厄介なのはこの火力プラントへと通づる渓谷を地球軍が支配していること、特に高台に設置された
陽電子砲とそれを守る陽電子砲を跳ね返す巨大MAだった。唯一の救いは現地の人々が地球軍に反感を持っているためザフトに協力的だったことだ。
しかしこれが思いもかけぬ突破口になる事となった。レジスタンスから渓谷周囲の情報をもらうとミネルヴァでアムロとアスランは時間をかけて作戦を煮詰めていく。
気付いた時には太陽が地平線に沈もうとしていた。アムロはシンを探していた。ミネルヴァの甲板で景色を眺めていたシンを見つけると声をかけた。

「ここにいたのか…」

「なんですか?また説教ですか?」

言いがかりとも取れる発言だがアムロは聞き流した。

「この間は少し言い過ぎたな。悪かった。今日は君と少し話したいと思ったんだ。」

「…何です?」

「君はオーブで家族を亡くされたと聞いたが」

「殺されたんです。アスハに、オーブと言う国に…」

「それで守る力が欲しいと思ってザフトに入ったのか?」

沈黙で答えるシン。アムロは諭すように続ける。

「この前も言ったと思うが自分勝手な理屈でその力を使うとそれは力じゃない。暴力だ。力の使いどころを間違えるんじゃないぞ。」

「解かってます…結局説教じゃないですか…」

「はっはっは…すまないな、年を取るとどうも説教じみた物言いになってしまう。今度の作戦が成功すればこの周辺の圧制を強いられてきた人たちは
開放される。そのための鍵となるのは君だ。それを言いたかっただけだ。詳しくは明日のブリーフィングで話す。君の本当の力を見せてくれよ。」

そう言うとアムロは甲板から去っていった。


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翌日、シンは現在は使われていない坑道の暗闇の中をコアスプレンダーで飛んでいた。
作戦内容はこうだった。
この坑道は陽電子砲が設置されている高台まで続いている。レジスタンスの情報を元に坑道をコアスプレンダーのみで進行。
陽電子砲の真下に来たら坑道を破って陽電子砲を破壊する。その間にアムロとアスランの二人は陽電子砲を守っているMA及び
MSの撃破と言うものだった。ブリーフィングの際アムロはこう言っていた。

「陽電子砲は渓谷全域を射程範囲に収めている。いくらミネルヴァと言えどこの砲撃を狭い渓谷で完全に避けるのは難しい。よってシンが陽電子砲を破壊するまで
の間は運動性があるセイバー、プロトセイバーで陽電子砲をかわしつつ最悪でも敵MA、その後出来る限りのMSを排除する。ミネルヴァは渓谷の外で待機。
陽電子砲破壊後にミネルヴァとザクは戦闘に参加してくれ。」

と。コアスプレンダーは坑道の中を壁にかすりもせずに飛行している。それだけレジスタンスの情報が正確なのだ。ブリーフィングに参加したレジスタンスの協力者、
コニールは言っていた。この作戦が失敗したら自分たちの町は終わりだ、と。現地の人々がどれだけ必死かと言うことがこの坑道のデータを通してシンに伝わる。
シンはそのことを思うと胸が熱くなり、現地の人々を守ってやるんだという思を強くする。そのときシンの中で何かがはじけ、頭の中が急にクリアになった。
見えないはずの道が見えているかのようにコアスプレンダーを操縦する。落ちてくる岩石がスローモーションのように見える。シンは自分でも不思議なくらい集中していた。

シンが坑道に入って10分後、アムロとアスランはミネルヴァを発進し渓谷を陽電子砲台の方向へと進む。
セイバーの右前腕にはちょっとした細工としてグレネードランチャーの発射装置のようなものが付いている。
しばらく渓谷を進むと案の定巨大MAと数機のMSが迎撃に出てきた。ビームを巨大MAに放つ二機。するとMAの正面が光り輝きビームを弾いた。
情報どおり陽電子リフレクターを装備している。ただ確認しただけの二機があせる事はない。そのときミネルヴァのメイリンから両機に通信が入った。

「陽電子砲に高エネルギー反応、来ます!!」

アスランとアムロは回避行動をとる。あらかじめ来ると解かっていれば当たることは無いがすさまじい威力の陽電子砲は渓谷の一部を削ぎ落とした。
MA、MS更にこの陽電子砲の砲撃となると時間をかければかけるほど不利になる。そこで二人は用意していた”仕掛け”を使うことにした。
アムロはプロトセイバーのVPSの設定電圧をあらかじめ入力していた値に設定し直しながらセイバーの後ろにポジションを取る。
アスランはプロトセイバーが後ろに隠れると同時に右前腕につけた発射装置から5,6発の弾を放つ。するとその弾は急激にふくらみセイバーと瓜二つの
形、色になった。目の前でひとつ膨れたものがあり、混乱しつつもそれを破裂させるMAのパイロット、そこにセイバーから放たれるビームライフルを
陽電子リフレクターで跳ね返す。そのときだった。後方からビームの直撃を受け、MAは落下していく。MAのパイロットが最後に見た光景はVPSを紅く染めたプロトセイバーだった。
セイバーが放ったダミーに混じりMAの後ろを取っていたのだ。
ちょうど同じタイミングで陽電子砲から大きな炎が上がり、コアスプレンダーがこちらに向かってくる。予定時間よりずいぶんと早い。
アスランとアムロは先行し残ったMSを片付ける。遅れてミネルヴァ、ザク、そしてミネルヴァと合流しチェスト、レッグフライヤーとフォースシルエットと合体し
インパルスとなったシンも駆けつけた。
地球軍はその時点で白旗を揚げた。


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ガルナハンの町は大騒ぎとなった。今まで抑圧されていたものが一気に噴出したような騒ぎだった。シンは町の人から褒め称えられている。
しかしその脇で地球軍兵士が住民にリンチを受けていた。自業自得といえばそれまでだがそれを見ていたアスランとアムロ。

「任務だとはいえ、やりきれないな…」

というアムロに対しアスランも

「そうですね…」

と同意する。しかしこれが戦争だ。割り切るしかない。アムロはそう自分に言い聞かせた。そこにシンが走りよって来た。

「やりましたね、隊長、作戦成功です。俺、ここの人たちを守ることが出来ました!」

と興奮気味に話すシン。アムロは

「そうだな、君の本当の力を見せてもらったよ。良くやったな。」

と言う。それにしてもシンが坑道に入って陽電子砲を撃破するまでの時間は短すぎる。今までのシンのレコードを調べ、任務完了時間を
予測、それよりも若干早く任務遂行時間を予定した。シンは何か他の特別な才能を持っているのかもしれないとアムロは考えた。

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