もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら まとめサイト


373 ◆lnWmmDoCR.氏  『ガンダムSEED D CCA』

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10分ほど泣きつづけただろうか、シンはだいぶ落ち着きを取り戻した。
涙を拭きながらトダカを見る。トダカは優しく微笑んむ。シンは照れながら

「おひさしぶりですトダカさん…みっともないところ見せてすいませんでした…」

「いや、いいんだ。もともと我々が地球軍側についたせいで君につらい思いをさせてしまったのだ…だいぶ立派になったようだな…見違えたよ。
泣き虫は相変わらずのようだがな。」

「泣き虫って…こんな状況ならしょうがないじゃないですか!…トダカさんもお元気そうですね…」

 シンはだいぶ遅れたが再会の挨拶を交わす。久しぶりに会ったのだ、じっくり話したいことは山ほどあるがこれ以上ここにいるとミネルヴァのみんなが心配するだろう。
名残おしいがシンは帰らなければならない場所がある。トダカが見送ってくれると言うので一緒に滑走路へと歩く。歩きながらシンは今までのことを話した。
プラントへ渡ってからのこと、アカデミーに入ってからのこと、赤服を着たときのこと。シンは今まで誰にも出来ないでいた話を話し続けた。
トダカは振り返らず先を歩きながらその話を聞いた。
滑走路へ着くとシンはトダカに尋ねる。

「トダカさん、これからどうするんですか?」

「そうだな、オーブへ帰る…と言うわけにもいかないだろうし正直今のオーブへは戻りたくないしな…ジャンク屋の知り合いを頼ってアメノミハシラへ行こうと
思っている。」

シンはオーブへいたときその場所の話を聞いたことがあった。もとは宇宙ステーションとなるはずの場所だ。

「アメノミハシラ…ですか?あそこは確か前の戦争のときに…」

「そうだ。サハク家が今は管理している。あそこにしばらく身を隠させてもらおうとな。私は今日オーブ軍人として散るはずだったがこうやって生き、君と再会した。
これをハウメアのご加護と言うのだろうな…私にまだ生きろといってるのかも知れん。」

「そうですか…あ!何かあったら言って下さいね!すぐ飛んできますから。」

「任務中でもか?」

とちょっと意地悪な質問をするとシンは少し悩んだが

「…はい。」

と答えた。

「ばかもん!軍人が任務を投げ出すとは言語道断だぞ!」

と少し怒り口調で言うとシンがびくっとした。トダカは冗談だと言う代わりに少し優しく微笑む。シンもその意図を理解したようで笑った。


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シンはインパルスへと乗り込みながら声を出す。

「トダカさん!今度は戦場でないところで会いましょう!」

「ああ、お互い生きていれば必ず会えるさ。」

「では、お元気で!」

と言うとシンは敬礼をしてインパルスのハッチを閉め飛び立った。トダカはインパルスが見えなくなるまで見守っていた。その後自室へと戻り
アドレス帳をバッグから取り出すとブリッジへと向かった。通信コードを入力しジャンク屋へと連絡を取る。

「ああ、急な通信に応答感謝する。こちらは元オーブ軍のトダカ一佐だ。ユン・セファンはいるか―」

しばらく話した後通信を切ると甲板に出た。あたりはもう日が沈もうとしている。水平線に沈む太陽はシンの瞳のように真っ赤に染まっていた。
ジャンク屋の迎えがくるまでしばらく時間がかかるとのことだった。トダカは軍服の上着を脱ぐとそれを枕代わりにして甲板に寝転んぶと夕日を眺めながら

「生きるとするか…」

とつぶやいた。その数分後トダカは久しぶりに深い眠りへと落ちていった。
シンはミネルバのデッキにインパルスを着艦させる。デッキへと降りるとアムロが待っていた。正直また怒られるのかなと思う。

「シン、敵艦で何をしていた?」

「隊長に止まれって言う女の声が聞こえたって聞いてなんだか胸騒ぎがしたんです…それで何があるか確かめようと思って。」

「それでなにがあった?」

「俺がオーブで家族を亡くしたとき助けてくれたオーブ軍の人がいました。」

「恩人と言うことか…あの声の女はそれをしっていたのか…」

「俺、もう少しで取り返しのつかないことをするところでした。止めていただきありがとうございました!」


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シンにこう素直に礼を言われるのは少し気持ち悪いものがあった。アムロは

「そうか、しかし礼はあの声の主にするんだな。疲れただろう。今日はもうゆっくり休め。」

と言うとシンの頭をぽんと叩きデッキから出る。シンはパイロットスーツを脱ぎシャワーを浴びると軍服に着替え自室へと戻る。
レイはさっきの戦闘でザクを中破され、怪我を負ったとのことでまだ帰ってきていない。ルナマリアのザクも大破しルナマリア自身も
命に別状は無いが重傷を負ったとのことだった。シンは軍服を脱ぐとベッドに横になる。
レイやルナマリアのことを気にかけたり、今回の戦闘、トダカのことを考えるとすぐに睡魔が襲ってきた。
シンは枕もとにおいてある妹の形見の携帯を取ると画面を開いて操作する。

「はい、マユで〜す。でもごめんなさい。今マユはお話できません。あとで連絡しますので、お名前とご用を発信音のあとに入れてください。」

との声が流れる。留守電用のメッセージを再生しただけなので発信音などは勿論鳴らない。しかしシンは携帯に向かって

「マユ…ありがとう。」

と話し掛けた。必ず届くと信じて。

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