「隊長、プラント最高評議会の許可を取らずに、中立国のコロニーを、攻撃して宜しいのですか」
「それでは遅いなぁアデス」
「しかし……」
「地球軍の新型機動兵器!。あそこから運び出される前に奪取する」
「X-105系と,X-102の搬出作業が、後15分程、遅れるですって!?」
「はい、ラミアス大尉」
「理由は!?」
長髪のロングへーアをした彼女は、少しばかりいらつきを覚えた。
「モルゲンレーテ社の一方的な都合です」
「あーもう」
OSの開発が手間取り、予定よりも遅れていると言うのにだ。
しかも、ザフトが此処を嗅ぎ付けたとはあっては、これ以上の遅延は許されなかった。
「どうなされますか、ラミアス大尉」
「話しは私がつけるから、他の機体のAAへの搬入作業を急がせて」
「わかりました」
彼女の名前は、マリュー・ラミアス。
キラ・ヤマト、アムロ・レイ、ムウ・ラ・フラガ。
三人との運命の邂逅が始まる。
「やはりな、地球軍の新型機動兵器だ」
「たったの三機か!?。情報では、まだ他にあったはずだが」
「多分、工場だろう」
彼らは、地球軍の新型機動兵器の奪取の為に、コロニー・ヘリオポリスに潜入した、選抜奪取部隊だった。
「よし、クルーゼ隊長に連絡だ。宝を発見したと」
「ハッ
銀色の髪した少年の声で、通信兵がヴェザリウスに通信を送る。
「全て、頂いてやる」
「予定よりも、15分遅れるとは、どういう訳なのですか」
「申し訳ありません。OSの調整に、手間取りまして」
どちらかと言えば、気は長い方なのだか、そうも言っていられない事情が、彼女を苛立させる。
「それは後回しに」
「もうすぐ終わる」
彼女が癇癪を起こす寸前に、一機のX-105から一人の男が顔を出す。
「貴方は、アムロ・レイ……」
「時間だ」
時計を見詰めていた仮面をつけた男の合図。
「ヴェザリウス発進、続いてMS部隊出撃」
ヴェザリウスの艦長アデスの矢継ぎ早の指示で、ザフト軍の2隻の戦艦からMSジンが出撃をして行く。
その状況に、泡を食ったのがコロニー・ヘリオポリスの官制室だった。
「ちい、艦長、出撃をします」
彼は、舌打ちをしながら愛機である、MAメビウスゼロに乗り込んで、ブリッジに出撃許可を求める。
「頼む、フラガ大尉」
機体チェックをしながら彼は、状況を確かめる。
「最悪な状況だなこれは……」
どうやら、ザフト軍はヘリオポリスの警告を完全に無視して、一気にヘリオポリスを攻略する構えでいる。
既に、オーブ軍コロニー防衛隊とザフト軍との間で、戦闘がはじまっていた。
「あんま、期待は出来そうにないな。ま、こっちも似たようなもんだが」
圧倒的な数で勝る地球連合軍!。
だが、世界の予想を上回る形でザフト軍優勢で戦局が推移していた。
その理由は、ただ一つ、MSの存在だった。