もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら まとめサイト


その他    プロローグ(書き手不明)(2006/08/26)

プロローグ
-宇宙の虹-

 「ここまでだな!シャアっ!」
 白い人型の巨人、νガンダムの攻撃が遂に、赤い巨大な鳥の様なマシンを捉えた。
それは激しい格闘戦の終焉であり、一人の女性に翻弄された男達の戦いが終わった事も意味する。
 「しかし、この高度ではアクシズの半分は地球に落ちる。私の勝ちだ!」
 「ふざけるな! たかが石っころ一つ…ガンダムで押し出してやる!」
 一体どこで間違ったのだろう、この二人の男達が目指すものは、間違いなく同じはずである。にも関わらず互いに認める事ができないでいる、どこで間違ったのだろう・・・。
 νガンダムは地球へ落ちようとしている巨大な隕石・・・アクシズの先端へと取り付き、それを押し返そうとバーニアを吹かせた。
 「貴様ほど急ぎすぎもしなければ、人類に絶望もしちゃいない!」
 その男は諦めない。愚鈍なまでに人の希望を信じている。
 次第に、νガンダムに光が集まりだした、緑色の、美しい光である。
 「しかし、この暖かさを持った人間が地球さえ破壊するんだ、それをわかるんだよアムロ!」
 コクピットを捕らえられたその男は絶望していた。大切な何かを失い、希望を見出せずにいる。
 やがて光は、地球へ落ちようとしている巨大な隕石・・・アクシズを覆う様に広がっていく。
 「わかっているよ! だから、世界に人の心の光を見せなきゃならないんだろう!」
 アムロと呼ばれた男は、そう叫びながらも別の事を考えていた。戦いの中で自分を見出す事のできたクェスという少女はもう大丈夫だろう。
ハサウェイの事は昔から知っている、彼ならばお転婆なクェスとも仲良くやっていけるだろう。
だが・・・ベルトーチカは、そしてお腹にいる赤ちゃんは大丈夫だろうか?
父親である自分が先立ってしまっては、余りにも不幸だ。
せめて、自分の子には寂しい思いはさせないように、しっかりとパパをやろうと思っていた矢先に・・・。
 そして光が男を襲う。
 「……ベルトーチカ!」
 それがアムロ・レイの最後の言葉であった。

 否、最後の言葉のはずであった。


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「…呼ばれている・・・ 誰だ?」
 男が発した最初の言葉である。ボーっとしてしまって頭が冴えない・・・。
だから、いつの間にか手に持っているサイコ・フレーム≠フ事も気がつかなかったし、自分がMSに乗ってない事も忘れてしまっていた。
 男の名はアムロ・レイ、彼の目の前には、見慣れているコロニーが、否、見慣れているはずなのに何かが違うコロニーが静かに存在していた。

PHASE-01 偽りの平和


 コズミック・イラ70……。
『血のバレンタイ』の悲劇によって、地球、プラント間の緊張は、一気に本格的武力衝突へと発展した……
誰もが疑わなかった、数で勝る地球軍の勝利……。
が、当初の予測は大きく裏切られ、戦局は疲弊したまま、既に11ヶ月が過ぎようとしていた……

ここは工業カレッジのキャンパスだ。緑したたる中庭、あふれる陽射し、楽しげにたわむれ、行き過ぎていく若者たち―――地球のどこでも見られるような、ごくありふれた日常風景。
 だが彼らが踏みしめている芝生の下には、厚さ約百メートルに及ぶ合金製のフレームがあり、その外には真空の宇宙が広がっている。
 ここはヘリオポリス”、地球の惑星軌道上、L3に位置する宇宙コロニーである。


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アムロはよくわからないまま、ヘリオポリスの雑踏の中を歩いていた。
自分の記憶は確かだ。
シャアと戦い、最後は半ば意地になってνガンダムでアクシズを止めようとした。
しかしその後どうなったのか、よくわからない。ヘリオポリスとはどこの宙域のどこのコロニー群なんだ?

「連合とザフトの戦争、長くなってるな」
「心配する事はねぇよ、ここは中立なんだ、巻き込まれる事はないさ」

雑踏の会話が聞こえてくるが、意味が分からない。
ザフト?連合?地球は地球連邦政府の統治下にある。そんな国家は聞いたことがない。

・・・

いい加減アムロは途方に暮れて、公園のベンチに腰かけた。誰に話しかけても、いい加減な反応が返ってくるばかりだ。
確かにスペースノイドは連邦政府を嫌っているが、この制服を知らない、連邦政府とはなんだと言われ、
さらに、アクシズはどうなったと聞いても、夢でも見たのか、と笑われる。ここまで嫌われているとは思わなかった。
とりあえず、地球が無事ということは大事は起きていないのだろう。
「どうしたものか・・・」
なぜか手の中にあったサイコフレームをいじりながら、頭を悶々とさせていると、

急に爆発が起こった。
「なんだ!?」
突然の出来事に周りにいた人々が悲鳴を上げる。アムロはギョッとした。
コロニーに、MSが侵入してきたのだ。
――なんだ、あのMSは!?
その姿を見て目を疑う。
見たことがないMSだ。ジオンのザクにトサカと羽根をつけたような外観だが、どこの勢力だ?ネオ・ジオンの新型か?しかしいまや、ネオ・ジオンにそこまでの国力は・・・
アムロは首を振る。考えていても仕方がない。
今は逃げるしかないだろう。

逃げ惑う人々に紛れて、アムロも逃げる。どうやらここはサイド6のような中立コロニーらしい。迎撃など望めないだろう。
ちらりと後ろを振り返ると、灰色のMSが何機かザクのようなMS群に強奪されている。
「ガンダム!?」
連れ去られているMSは、ガンダムタイプだった。それも四機も。自分は夢でも見ているのか。

轟音。
さらに次の瞬間には、白い戦艦がドックから飛び出していた。
「・・・あれは・・」
正直、もう頭が状況についていかなかったが、あのデザインは、今は製造されていない連邦のペガサス級に似ていると思った。
コロニーにMSが侵入、そこで製造されていた白い戦艦。
「まるであの時だな」
自分が初めてガンダムに乗った状況をどうしても思い出す。
アムロは立ち止まり、逃げ惑う人々から離れてその戦艦へと向かう。連邦の船なら、収容してくれるはずだ。

――時を同じくして、マリュー・ラミアス中尉の手によって起動した五機目のガンダムが、炎の中から出現していた。


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