もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら まとめサイト


125氏  『メビウス・リンク』

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アスラン・ザラはつくづく思う

最悪だと・・・・

久々に気持ちよく目が覚めたと思ったら何故か隣にはラクスを偽る<ミーア・キャンベル>がいたのだ。
あまりのことにベッドから転がり落ちてしまった。
しかも、当人はそ知らぬ顔で「朝のキス」をねだってくる始末。

厚顔無恥というか、天真爛漫といおうか、<あの>本物のラクスもここまで非常識じゃなかった・・・と、思う・・・た、多分・・
渋面を作って追い返そうとしたら、何故かロックした筈の入り口のドアが開いて(そもそも彼女はどうやって入ったんだ?)、見覚えのあるペットロボットがテーンテーンと跳ねながら入ってきたのだ。

「あら?」

彼女…ミーアは入ってきた赤いハロに目を丸くしていた…かくいうこっちも目を丸くしていただろうが・・・・。

「たしか、あの人に修理をお願いしたのだけど…もう済んだのかしら」

いや、驚くのはそこじゃないだろ
なんであのハロは部屋のロックを解除して入ってくるんだ。
それ以前にどうしてこの部屋に?

などと考えているのがいけなかったんだ。
ミーアは開け放たれたドアに気付くと「あら」とドアに近づいていった・・・・ネグリジェの格好で。

「あ、ちょっ、ミーア!」

その格好はまずい!!もし、万が一、部屋の前をクルーの誰かに通られでもしたら!!
慌てて彼女に追いつこうと飛び出した…まさにそのタイミングだった、これ以上はないというほどのタイミングで

「アスラン?」

と顔を出したのは・・・アムロ・レイ大尉とルナマリアだった・・・・。


(これは…まずい時に出くわしたな)

目の前には目をパチクリさせているネグリジェ姿のラクス・クライン嬢に何故か彼女に追い縋る格好で固まってしまっているアスラン・ザラ。
この状況を鑑みれば・・・どうやら自分たちはお邪魔虫のようだ。

「ああ、すまない。僕たちは邪魔のようだな、直ぐに退散するよ」

同じく自分の横で固まっているルナマリアの肩を抱いて退散しようとすると

「ち、違いますッ!!アムロ大尉、これは」
「まあ、アムロ様ではないですか。昨日のコンサートではお世話になりました☆」

何事か喋ろうとするアスランを遮るようにラクスがにこやかに声を掛けてきた。


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「任務で同行したまでですよ」
「でも、とてもお上手でしたわ。お陰で安心してコンサートを行えたんですもの」

ネグリジェ姿でする会話じゃないな、と思いつつタイミングを見計らっていると、今まで蚊帳の外だったルナマリアが右腕を抱え込んできた。

「…アムロ大尉、そろそろ失礼したほうが」
「あ、ああ。それじゃ…」
「失礼します」

唖然としているアスランを尻目に、にこやかに手を振るラクス嬢にこれまたニコヤカに敬礼するルナマリア.


「・・・・・」
彼の部屋を後にして、二人して会話のないまま廊下を進む。ちなみにまだ右腕は開放してもらってない。
歩く振動に合わせて彼女のふくよかな胸が振動するのが微かに伝わってくる。

「不機嫌だね、ルナマリア?」
「…そうですか?あ、食堂につきましたよ」

・・・・これも「女心と秋の空」ってやつかね?
などと思いながら彼女と向かい合わせに窓際のテーブルに腰掛けた。周囲を見てみると朝の9時を少し回っている時間のせいもあってかちらほらクルーの姿が見える。

十数分後

「じつは、かくかくしかじか…というわけでね」
「へ〜え、そうだったんですか」

昨日の事の顛末を端折りながら説明すると、サンドイッチをつまみながら相槌を打つルナマリア(・・・・どうやら機嫌を直してくれたらしい)

「でも、凄い幸運ですね」
「え、なにがだい?」
「ラクス様とライブ・コンサート用ザクに一緒に乗るなんてこれから先ないようなシチュエーションですよ」
副艦長にヨウラン、ヴィーノが聞いたらすっごく悔しがるわ…なんて言いつつ笑う。

「そんなもんかい?」
「…アムロさんは興味ないんですか?」
「どうだろうね。今までアイドルとかそういうのには無縁の生活だったからな」

なんて久しぶりに和やかに、スクランブルを気にするでもなくルナマリアと談笑していると横から声をかけられた。

「ちょっと失礼するよ」

その人物は、ザフトの赤い軍服に身を包み、胸には<FAITH>の紋章を付けたおそらくはまだ若い黄金色の(俗に言うハニーブロンドか?)髪の青年だった。
「あ」と彼女もソレに気付いたのか一緒に立ち上がって敬礼しようとするが、彼が押しとどめた。

「構わないさ、そのままで」

そう言うと空いた席に腰かけ、含みのある目でこちらを見詰めながら挨拶してきた。


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「俺はハイネ・ヴェステンフルス、本日よりミネルバ隊に配属になった者です。お会いできて光栄ですよ、アムロ・レイ」
「…?」
「勿論、知ってますよ。プラント本部ではよく貴方のことがウワサされてるんでね」
「………」
「この御時世、コーディネーターに味方するナチュラルで、しかもソイツは並大抵のパイロットが裸足で逃げ出す程の技量を持つってんだからそれも当然だ…な?」

なんて言いつつ、ルナマリアをチラリと見る。ルナマリアは口を開きかけたが、結局は仏頂面で噤んだ。
それを見てこらえきれなくなったのか、「ぷ、はははははっ!」といきなり笑い出した。

「はは、悪い悪い。別にからかうつもりじゃなかったんだが、初々しい二人を見てるとつい、な」
「なっ!?」咄嗟のことにルナマリアは頬を赤く染めるしかない。クックックと軽く笑った後、改めてアムロに手を差し出す。

「ま、よろしく今後ともお願いしますよ、戦争なんてくだらないことはさっさと終わらせたい」
「ああ、同感だ」
アムロも笑いながら握手を交わす。

「さて、肝心のもう一人のフェイスの奴は何処に・・・・へえ・・・噂をすればって奴だ」

レストランの入り口の方で何かしらザワザワした雰囲気があり、その視線の先にはアスランとラクスの姿があった。
パッと見では二人は寄り添いながら仲睦まじそうだが、心なしかアスランはゲッソリしているような・・・・
そのうち、向こうがこちらに気付いたのか、ラクスがアスランを引っ張りながら近づいてきた。

「あら、アムロ様。ご一緒してもよろしいかしら」
「俺は構わないが、どうしたんだ?アスラン。元気がないようだけど」
「いえ、別に…」
そんなアスランの様子に首を傾げるアムロ達三人だったが、どこからともなく・・・・

『坊ヤダカラサ♪ 坊ヤダカラサ♪ ボ・オ・ヤ・ダカラサ〜♪』

などと極めて不愉快な(アムロにとって)声が聞こえてきてた。その発生源はというと・・・歌いながらアスランの周りをテーーンテーーンと跳ね回っていた。
アムロはおもむろに立ち上がると、がしッ!とアイアンクローの要領でその<赤いハロ>を掴み、呆気にとられているラクスに

「すまない、このバカ…いやアホ…いや<赤いハロ>はまだ直っていない様だ。もうちょっと待ってもらえるかい」
などとにこやかに言いつつもハロを掴んだ手はギリギリと握りつぶさんとするかのように締め上げた。

「え、ええお任せしますわ」
「じゃ、おれはこれで失礼するよ」そう言って目を丸くする彼らを残して歩き去っていった。
「・・・結構、面白そうな人だな」
「ええ、まあ…見ていて飽きないし」

さもありなん

「…なんで歌った?」
『…イイジャン、ベツニ』

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