もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら まとめサイト


125氏  『メビウス・リンク』

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『ドウダ!!』

なんとも誇らしげな声がシミュレータールームに響く。
声の発生源は、可愛げのあった風貌から一転、珍妙な異形へと化してしまった<赤いハロ>からだった。
それはもう威風堂々とこれ見よがしに立つ姿は、とても自慢げではある。
しかしルナマリア、メイリン、シンの三人が唖然と見つめる、その球体からゴツイ2本の足で立つハロの姿は殆ど……

「・・・キモっ!」←ルナマリア評
『!?』
「なんかぁ、ヒヨコからニワトリの足が生えてるみたいだよね・・・」←メイリン評
『!!??』
「あ〜、ね(納得)・・つか、どうやって収納してたんだ?」←シン評
『・・・・・グハッ!!!』
ドサッ

恐らく期待していたのと真逆の感想を次々とぶつけられたのだろう、ハロはよろよろとよろめき沈黙した。
(・・・ちょっと言い過ぎたかな?)
(傷ついてんのか? ロボットが?)
俯きながら(?)プルプル震えるハロの姿は、余りにも惨めでシンとメイリンの哀愁を誘った。
一方のルナマリアは、無言で髪をガシガシ掻きながら無造作に近づくと鷲掴みにして持ち上げる。

「ちょっとアンタねぇ、いい加減に・・(バチッ!)あいたぁっ!!」

突然、持つ手に痺れた感触が走りルナマリアは堪らずハロを放り投げてしまった。
クルクル、シュタッ!

『ハロ・・・サワルンジャネエヨ』

さっきまでの落ち込みようはどこへやら、見事な身のこなしで華麗に着地したハロは不敵に言い放つ。
その余りの物言いに、静まりかけていたルナマリアの怒りは再燃した!
未だに軽く痺れている手を軽く振りながら、こちらも不敵に頬を歪ませながら言い放つ。

「へえ・・・折角人が穏便に済ませてやろうと思ったのに、遠慮は無用みたいね?」
『フ・・ハロ、ハロハロ、ハロリ〜タ』
「何ですってえ?」
まさに、一触即発の雰囲気に包まれるなか、部外者と成り果てたシンとメイリンは固唾を呑んで――シンは馬鹿馬鹿しさに呆れながら――事の成り行きを見守っていた。
「……会話成り立ってんのか?アレ」
「あのね…『フ、この程度で度肝を抜かれては困るな』だって」


だから何でお前らコトバ通じてんの?ていうシンの疑問はさておき、ルナマリアとメイリンはマジな顔でハロを見つめる。

次の瞬間、なにを思ったか赤かったハロの色は、くすんだネズミ色へと・・・まるで潮が引くように変わっていった。
ちなみに、そのときの効果音は<<みみみみ〜〜〜〜んん>>である。
その、どっかで見たような、聞いたような変化に三人とも呆気にとられてしまう。
元の派手な色から一転、一気に地味〜なカラーリングになってしまったハロであるが、、シンたちは連想するのだ・・慣れ親しんだあるメカニズムに・・・。


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『ミタカキイタカオドロイタカ〜♪』

その唖然とした三人の様子に満足したのか、鼻唄でもしそうなくらいご機嫌なハロは<<みみみみ〜〜〜〜んん>>と再び元の映える赤に戻っていった。
納得いかないのは勿論シンである。

「つうか有り得ねえだろ!? なんでペットロボにPS装甲なんてシロモノ付けんだよ!」
「そうよバッカみたい!! 大体動力はどうしてんのよ! 電池なんてぬかしたら・・・」

『アエテイウナラ・・・・<魂>?』

その発言にガクゥッ!と一気に脱力させられ、膝がカクンとなったシンとルナマリアはこう思わずにはいられなかった。
(…あ、アホだ)
(…アムロさんの言ってた通りだわ)
やたらと感心しきりなメイリンが赤いハロに話しかけているのを見ながら。ルナマリアは先ほど艦長に報告に行く前のアムロの忠告を思い出していた。

『『…いいか、ルナマリア。これから先、アイツと付き合っていく上で、常に最悪のケースを想定しろ…奴は必ずその斜め上をいく』』


斜め上でした、アムロさん・・・


「ねえねえ、まだあるの?」
『ハロハロ♪』
「わっ、スッゴーイ! 綺麗な金色っ!! なんか額に”百”って文字まで浮かんでるし」
『ハ〜ロハロハ』
「やたのかがみ? なにソレ」

『ハ〜ハロロハロ』
「プッフフフフフ。『これがホントの下半身in上半身』だってぇ、シン」
「かんべんしてくれ」


それも遥か斜め上・・・・アンタが羨ましいわメイリン


時間は少し戻る

プシュー

ルナマリアが退室するのを見届けたタリア・グラディスは提出されたファイルを弄びながら目の前に立つアムロに声をかける。
「どう思った?」
「ん?」
「貴方のことだから、なにかしらのコンタクトは試みたんでしょ? みすみす何もせずに帰還するはずないものね」
まあ、アムロも自分が残されたことから予想はしていた。タリアの明瞭さに欠いた質疑にも答えることは出来るのだが・・・
「普通の少年たちだったさ。危険な思想に染まっているわけでも戦いに存在価値を見出してるわけでもない」
「・・・私が聞きたいのは」
「タリア、分かっている」


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しかし、アムロはみなまで言わせなかった。ずるい手だという自覚はあったが、色々と考えがまとまっていないのも確かなのだ。
これからは益々自分の発言に注意を払わなければいけなくなる。
たとえそれがどのような場所であろうと・・・


〜数時間前〜

夕陽もそろそろ沈みかけている日没時・・・
両手をあげながら、アムロはゆっくりと目の前に佇む三人に近付いていった。
背後の二人をかばうように立つ少年、キラ・ヤマトとカガリ・ユラ・アスハ、そしてミリアリア・ハウを見つめながらアムロは思う。
自分は彼らを説得できはしないだろう。
最悪の場合によっては彼らを拘束しなくてはならなくなるかもしれない。
アスランのセイバーが飛び立っていった方角を若干皮肉げに一瞥すると、アムロはゆっくりと立ち止まる。
お互いの距離は約3メートル、互いの身を守る最低限の距離だった。

「アムロ・・・さん」

この再会に喜ぶべきか知る由もないミリアリアは呟くしかない。だから、アムロは可能なかぎり安心させるよう、ミリアリアに微笑みかける。

「久し振りだね、ミリアリア」
「どうして、アムロさんがここに・・・」
「アスランの尾行をしていたんだよ」
「待てっ、アスランの尾行とはどういう意味だ!アイツ、何か疑惑をもたれているのか!?」
「カガリ」

キラ・ヤマトが静止しようとするが、カガリはどうしてもアスランの事が気になるようだ。
アムロは出来るかぎり言葉を選びながら、しかし、内面は呆れを禁じえなかった。

「前大戦で深く関わりがあった君たちに最も親しかったと目される彼だ、疑われるのは当然のことだろう? カガリさん」
「う、し、しかしっ!」
「この際だ、無益な会話はお互いの為にも好ましくない・・・だろう?、キラ・ヤマト」
「はい」

まっすぐこちらを見返すキラの視線に迷いはないことを見て取ると、アムロはおもむろに切り出した。
「単刀直入に聞く。君たちはこれからどうするつもりだ」
「…少なくとも、連合、ザフトに投降するつもりはありません。僕たちは僕たちなりに平和へと繋がる道を模索していきます」
「双方を敵に回すことになる…恐らくオーブもだ…そうなってはとてももたないぞ」
「わかっています、でも、やらなくちゃ」

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