「こちらです。」
と物々しい雰囲気の建物の中、アムロは黒服の男にある部屋へ案内された。
男がドアをノックする。
「入りたまえ。」
この声を聞いた時、アムロの全身の血がざわざわと騒ぐのを感じた。
一瞬にして頭に血が上るのを実感する。黒服を押しのけ叫びながらドアを勢いよく開いた。
「なぜここにいる!!シャア!!」
が、目の前にいる男はシャアとは似ても似つかない男だった。
ん?と首を傾げるこの男こそがプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダル。
「何をする!!」
とアムロを取り押さえようとする黒服を
「かまわんよ。」
といさめる。黒服が一礼し部屋を出て行くとデュランダルはアムロに聞いた。
「誰かと間違えたのかね?」
その言葉を聞いて正気を取り戻す。
「申し訳ありません。よく知った人物に声があまりにも似ていたもので。」
「ふむ、間違えは誰にでもある。そういえば自己紹介がまだだったね。私はプラント最高評議会議長、
ギルバート・デュランダルだ。よろしく。」
「アムロ・レイです…よろしく」
と二人は手を握った。
「かけたまえ。グラディス艦長から報告は受けている。君は非常に興味深いことを言っているようだね。」
「ええ。僕も信じられないことですが。」
「結論から言ってしまえば君は違う世界から来た、そう言う事になるのかな?」
「そうですね。それが一番分かり易いし、全てに説明が付きます。」
「そうか…ところで君はこれからどうしようと思っているのかね?」
「全く見当もつきません、と言うかどうしたら良いかすらわかりませんからね。」
「それは困ったことだな。そうだ。そしたら君がよければ、だがザフトに入ってみる気は無いかね?」
「ザフトに?」
「ああ。報告書には赤服のシン・アスカが助けられるほどの腕前と言うことも載っている。
見たとは思うがザフトのパイロットは若い。君のような大人に指導してもらえば彼らとしても
貴重な体験になると思うのだがね。」
「そんなこと急に言われても…僕のMSもあんな状態ですし…」
「なに、MSに関してはこちらで用意させてもらう。もちろん君のMSが直ればそちらを使って
もらうがね。」
「…もしかして最初からそういうつもりでνガンダムを?」
デュランダルは何も言わずに微笑んだ。
「やり方が気に食わないな。そんな回りくどい事しなくても僕にはこの世界で選択肢が無いことくらい
わかっているでしょうに。」
「はっきり言うな…ますます君が気に入ったよ。すまなかった。こういえば良かったのかな?
”我々に力を貸して欲しい”」
それを聞いてアムロはザフトに身を寄せることを決めた。デュランダルを信用したわけでは無い。
むしろ不信がっている。声だけでなく腹黒いところまであいつに似ている。
それでもザフトに身を寄せようと思ったのはもっとも近くでデュランダルの動きを知るためだった。