もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら まとめサイト


400 ◆4KdCTI1fDY氏  『機動戦士ガンダムSEED side A』

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やり杉た・・・         .∧_∧         ( ´・ω・)  <機動戦士ガンダムSEED side A 第10話(後編)     _, ‐'´  \  / `ー、_    / ' ̄`Y´ ̄`Y´ ̄`レ⌒ヽ    { 、  ノ、    |  _,,ム,_ ノl   /\ ̄ ̄ ̄ (;;゚;;) ̄ ̄旦 ̄\ /◇◆\_________\ \\◇/◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆\   \(ニニニニニニニニニニニニニ)


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「よし――行くぞ!!」

 Mk-Uとソキウスの搭乗する改修型ジン三機は前方に浮遊するベース・ジャバーに接触すると
 空戦隊のメビウスと共に一気にザフト艦隊を突かんと飛び立つ。
 ベース・ジャバーは、モビルスーツの長距離侵攻の脚となるプラットフォームだ。
 むろん、これもアムロの知識を元に造られたものだが何故アムロがこれを"下駄"と呼ぶのかは
 彼以外には解からない事だった。

≪アムロ大尉、アークエンジェルの方は?≫
「俺達の機体に大気圏突入の機能は無い。あの高度では、もう彼等に任せるしかないだろう。
 俺達は第8艦隊撤退のために可能な限り敵を崩す!!」
≪了解です≫

 ソキウス等と入れ替わりにMk-Uにメビウス隊からの通信が入る。

≪アムロ大尉、ヒヨコへの指導も結構サマになっているじゃあありませんか≫
≪それが例の新型ですか。ついに『白き流星』までモビルスーツかぁ≫

 その言葉はモビルアーマー乗りとして時代が変革する寂しさを滲ませていた。
 アムロは元々モビルスーツのパイロットだが彼等の気持ちは解からなくもなかった。

≪ところで、アムロ大尉も一口どうです?≫
「また、やっているのか?」
≪ええ、一番撃墜数の少ない奴が一杯ずつ奢りで≫

 生命を掛け金とする不穏当な会話に聞こえるかもしれない。
 だが、彼等には生命を弄んでいるつもりは無い。
 いつの日か戦闘の中で愛機もろとも火球となるその時まで
 せめて陽気さを失わない生き方をしたいと思っているのだ。

「それに参加する気はないよ。趣味じゃないしな。だが、生き残った全員に俺のとっておきを開ける」
≪を、それって例の人からの?≫
「ああ、木箱入りの極上品だ」

 通信が歓声で埋め尽くされる。
 そうしている内にいよいよ戦闘空域まで僅かとなった。
 空気が変わる。全員がスイッチを切り替えたのだ。

「あれが、戦場の光か・・・」
≪ルーキーども、背中はしっかり守ってやる。生き残れよ!!≫
「はいっ!!」

 ソキウス達は迫り来る光に意識を集中させた。


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 アムロ達の動きは当然の事ながらメネラオスにもキャッチされる。

「んッ、ブリギッドが出撃だと!?どういう事だ・・・まさか、ホフマン大佐っ!?」
「はい、私が許可を与えました」

 ホフマンの静かだが確かな声にハルバートンは眼を剥く。

「貴様・・・いったい、どういうつもりだ!!」
「敗退するだけならまだしも壊滅というのは軍人として最も恥ずべき事ですからな。
 手を尽くしてなお、渋々受け入れねばならんのならばともかく
 決して甘んじて受容するものではないという事ですよ、提督」
「なっ・・・」

 ホフマンの言葉にハルバートンは絶句する。

「このまま最強のカードを切らぬままで――終わるつもりはありません!!」
「最強の・・・カード!?」

 ハルバートンはホフマンの言葉の意味が解からなかった。
 もはや、表面上は取り繕っていた己の表層も剥げ落ち
 澱みが溢れかえっている彼には。

 ――アークエンジェルは、ストライクは連合の未来にとって必要なものだ。
 軍人として・・・そのための礎となる事に何の不満があるというのだ・・・
 それをブルーコスモスのムルタ・アズラエルの手下になど、あの男の、あの――

 G強奪の失態から擦り切れ、磨耗したハルバートンの認識は最期まで気付く事はなかった。
 "G"を強奪された自分と月でのモビルスーツ開発に成功させたアズラエル。
 兵を想う気持ちがアズラエルへの妬心と敵意に飲み込まれ
 いつしか、目的と手段までもがすり替わっていた事に。


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「敵、ローラシア級接近!!これは・・・特攻です!!」
「!?、いかん!!すぐに避難民のシャトルを脱出させろ!!」

 猛進するローラシア級戦闘艦ガモフに気付きこれを阻止せんと攻撃を加えていたムウだったが
 高度が突入限界点に達し後退を余儀無くされる。

「メネラオス?まだ避難民を・・・くそ、限界か!!」

 アークエンジェルへ向けメビウス・ゼロにアンカーを射出させ着艦に成功する。

「坊主はっ!?第8艦隊も――」

 ふと、モニターの端に幾条の光の尾が敵に接近するのが見て取れた。

「アンタなのか、アムロ大尉!?・・・頼むぜ」
『ああ、なんとかやってみる!!』

 何故かそう返事が聞こえたようにムウには感じられた。


「ガモフ出過ぎだぞ!?何をしている・・・ゼルマン!!」

 無謀な突進を仕掛けるガモフ艦長ゼルマンに対しアデスは語気を荒げる。
 クルーゼ、アデス共に特攻などを命令した覚えは無い。

≪ここまで追い詰め――退く事は――我等――足付きを!!≫

 ノイズ交じりの通信ではあったが意図する事がクルーゼには読めた。
 ゼルマンはアークエンジェルを墜とせず第8艦隊との合流を許した事を恥じ
 その身命を投げ打たんとしているのだ。

「もはや、彼を止める事は出来んよ。行かせてやれ」

 クルーゼは感情の無い声を発した。
 軍事的ロマンチシズムに溺れた輩になど関わる時間すら勿体無いと言わんばかりに。


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 特攻を仕掛けるガモフは目の前の駆逐艦を撃沈し、ついにメネラオスをも照準に捉えビームを存分に見舞う。
 メネラオスも応戦するが機関部にビームを被弾させその高度を落としていく。

「我等が・・・ザフトの意地を――!!」
「クッ・・・刺し違えるつもりか!!うわっ!!」

 直後、ガモフはアークエンジェルとの接敵も叶わぬまま爆散する。
 しかし、ガモフが断末魔の間際に放ったビームによってメネラオスのブリッジに火の手が上がる。
 機材は拉げ、クルーの生命も灼熱の炎に飲み込まれる。

「グッ・・・ウッ!!」

 ホフマンが霞む眼で横を見るとハルバートンは機材に胸を貫かれすでに絶命していた。
 ホフマン自身も両足を完全に潰されている。
 意識が朦朧し痛みを感じないのがせめてもの救いだった。

 ――この人も・・・間が悪かったのだろうな・・・まったく、戦争というのは・・・

 ハルバートンを責める気にはなれなかった。
 志の高い男だった。宇宙に散って逝く兵達の事を誰よりも考えていた。
 状況が彼から彼自身を奪っていったのだとホフマンはそう納得した。

 ――私も無責任に死んでいくのだ、責める事など出来ぬ。

 視界は暗くもう何も映さない。自分が流した血が沸騰している音だけが聞こえる。
 この無能な自分達につきあわせてしまった兵達には申し訳のしようが無いとそれだけが悔やまれた。
 最期にアムロ達が飛び立った時の光の尾がホフマンの脳裏を過ぎった。

 ――フッ、『白き流星』とはよく言ったものだな。

 そのまま、メネラオスは大気の摩擦熱に焼かれ――消失した。


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 摩擦熱に機体を紅く染めながらストライクとデュエルは死闘を繰り広げていた。
 双方のビーム・サーベルの激突による干渉波が飛び散っていく。

「コイツーッ!!」
「お前なんかにー!!」

 いったん距離をとったデュエルのシヴァの火線を全て避け
 キラはシールドを前面に出したままスラスターを全開にしデュエルに体当たりする。

「グッ・・・!!」
「これで――!!」

 続けざまに蹴りを見舞いデュエルを突き放す。

「クソッ!!このままで・・・!!」

 再び、ストライクにビーム・ライフルを向けようとしたが
 メネラオスから脱出したシャトルに間に割り込まれる。

 ――ッ!!

 邪魔をされた。その認識は激憤となりイザークを支配する。
 その危険な思惟をムウは感じ取った。それが導く結果までもを。

「オイ・・・やめろ・・・、何をやっている!!」

 だが、分かるからといってどうなるというのだろう。
 今のムウには手の出しようが無いのだ。

「よくも、邪魔を・・・!!」
「!!――やめろーッ!!それには!!」

 キラはシャトルへ向けストライクを加速させる。
 飛び出してどうするといった考えは無かった。
 だた、護りたかったのだ。中にいる人達を。
 自分に今まで護ってくれてありがとうと言ってくれた、風車をくれたあの子を。

「逃げだした腰抜け兵がーーーッ!!」

 だが、無情にもシャトルはキラの目の前でデュエルの放ったビームに貫かれ炎に消えた。


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「敵部隊接近!!射程――入りました!!」
「よし、撃てーっ!!」

 アムロ達の警戒にあたっていた部隊は艦砲を一斉に放つ。
 直後、乗り捨てられたベース・ジャバーが猛烈なビームの奔流に消失した。

「ナチュラルがモビルスーツなど!!」
「タイミングが早いな、これなら――」

 放たれた銃弾を余裕を持って避け、その姿勢のままイレブンは改修型ジンに応射させる。
 ローレンツ・クレーター基地で改修されたジンはスラスターを強化し
 さらに頭部をモノアイではなくゴーグルにセンサーが覆われているものに
 取り替えられているため、与える印象もノーマルのジンとはだいぶ異なっていた。

「――そのまま・・・よし、つかまえた!!」

 エイトはイレブンに誘導されたジンに向かいミサイル・ランチャーを撃った。
 軽装なイレブンのジンに比べエイトは自機にかなりの重装備をさせている。

「やられた!?コイツラ・・・つよ――」

 ミサイルの爆風に飲み込まれた僚機に一瞬気をとられた敵の隙を逃さず
 イレブンは脚のホルダーからアーマーシュナイダーを抜き放ちコクピットを貫く。
 と、側面からイレブンに銃を向けていたジンの腕がメビウスのリニアガンに砕かれる。

≪こら、ボサっとしてんなルーキー!!前に出んならとにかく動きまくれ!!≫

 メビウスの編隊は見事な連携でジンを翻弄し、撃墜する。
 幾度も実戦を経験し新星ではアムロと共に戦った彼等だ。
 第8艦隊のメビウスとは動きがまるで違う。

 ――僕が彼等の足を引っ張るようでは話にならない。自分の性能をもっと発揮しなければ!!

 イレブンは次のジン目掛け機体を動かした。


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「ジン四機やられました・・・!!」
「この短時間で四機だと・・・!?」

 オペレーターからの信じがたい報告に部隊指揮官は絶句する。
 だが、現実に味方のシグナルはロストしている。

「クッ・・・なんという・・・」

 狼狽しながら拡大ディスプレイを睨んでいた彼はMk-Uの姿が無い事に気付く。 

「敵、新型がいないだと!?確認いそげ!!」
「待ってくだ・・・高熱源体急速接近!!――真上です!!」
「何!?ぐっ――!?」

 直後、MK-Uのバズーカに直掩のジンが貫かれ爆散する。

「時間をかけている余裕は無い!!一気に決めるぞ!!」
「ハイッ!!」

 MK-Uとセブンのジン、そして対艦ミサイルを装備したメビウス隊は
 真下の艦艇に向かい急加速をかけながら各々の火器を撃ち放つ。
 ジンも応戦するが直撃され次々と大破する。

「対空、何をやっている!!敵を近づけるな!!」
「直掩部隊、壊滅!!こんな――」
「くそ、何故今頃になって――」

 彼が前に目をやった瞬間、艦のすぐ手前にMk-Uが現れる。
 Mk-Uはバズーカを手放し右腕をブリッジに向かって突き出す。

「――――!!」

 躊躇無く至近から放たれたガトリングガンは嵐のようにブリッジを襲い
 機械であろうが、人であろうが、そこに存在した全てのモノは粉微塵になった。
 それを感情の読み取れぬ冷たい瞳で確認したアムロは宙を浮くバズーカを掴むと
 他の艦も無力化された事を確認した。

「よし、すぐにここを離脱。次のポイントに向かうぞ!!」

 ちょうど、この時デュエルによって避難民のシャトルが破壊された。
 一年戦争当時のアムロならば、おそらくはキラの叫びを感知していただろう。
 だが、現在のアムロにそれは届かなかった。戦いにそのような感覚は必要ないのだから。


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「エマー隊・・・壊滅!!」
「まさか・・・こんな事が・・・」
「奴等の脚を止める。カール、ロナルド、マクシムの隊に重囲させろ!!」

 もたらされた報告にアデスは驚愕し、クルーゼはすぐさま手を打つ。

「戦争だよアデス・・・戦争だ。どんな事でも起こりうる。
 我等、知らぬ間に驕り兵士ではなく狩人の気分でいたのではないかな?」

 クルーゼも危険を察知し準備はしていたが、それでもこの突破力は予想を上回るものだった。
 このまま切り込まれれば被害は黙止できぬものになるだろう。
 さらに兵の士気への影響も問題だ。
 なまじ勝っていただけに崩れれば収拾がつかなくなる可能性が高い。

「カール隊からの解析画像入ります!!」

 ヴェサリウスのディスプレイにMk-Uが表示される。

「どことなくデュエルに似ていますが・・・」
「あの肩のマーク・・・やはりそうか。連合の『白き流星』、アムロ・レイ」

 クルーゼはMk-Uのパイロットが新星の時の白いメビウス・ゼロと同一であると確信した。
 パーソナル・マークだけが理由ではない。
 これ程のプレッシャーを感じさせる者などそうそういるものではないからだ。

「マクシム隊突破されました!!」

 味方を示すマーカーが一直線に食い破られていく。
 ザフトにとっては正に悪夢のような光景だ。

「アスラン、ニコルをF-12に急行させろ!!
 それと私のシグーの準備だ。特火重粒子砲を無理やりでいいから持たせておけ!!」
「隊長自ら出るのですか!?」
「アレの相手は今のアスラン達には荷が重いよ。残念だがな。あと艦隊主砲を――」

 それだけではなくクルーゼには私的な理由もあった。
 自らのこの感覚は未だ不安定であり不完全である。
 これを完成させるにはアムロとの戦いが不可欠だと、そう考えたのだ。


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「何だ、何なんだよアレは!!」

 白いモビルスーツ――Mk-Uにザフト兵士は戦慄し、恐怖した。
 他のメビウス、改修型ジンも高い技量を誇るがMk-Uに関しては完全に彼等の理解を超えていた。
 回避の動きすら完全に読まれ吸い込まれるように直撃を受けるしか選択肢が残されていないと
 そう感じさせるほどの圧倒的な力の顕現がそこには存在した。

「モンスターだ・・・!!」
「怯むな!!あれはモンスターなどではない!!」
「しかしっ・・・!!」

 怯える仲間を諌めるがその彼自身の声にも恐怖が混じっていた。

「だが、いっそモンスターであった方がどれだけ救いがあったか・・・
 あの、肩のマーク。おそらく奴は連合軍最強と謳われる――」
「『白き流星』ですか!?アレは流星とかそんな優しげな代物じゃありませんよ!!」

 Mk-Uのデュエル・アイがこちらを向きビーム・ライフルを構える。
 叫びを上げ機銃をフルバーストで撃つがまるで当たらない。
 すく横で爆光、僚機がやられた。
 Mk-Uに対し、再び機銃を向けようとしたが結局はかなわなかった。
 気付かぬ間に機銃ごと右腕をやられていたのだ。
 すでにビームは放たれている。間違いなく直撃するだろう。
 
「アレは、アレは!!――くま・・・白い・・・魔・・・だ!!」

 恐慌する彼を凶悪な熱量が襲い一瞬で肉体を蒸発させた。
 彼だけではない、今後、ザフトに属する者はアムロ・レイを畏怖と憎悪を持ってこう呼ぶだろう。


 連合の『白い悪魔』と――

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